アートはいかようにも解釈できるものだと思う。
「あのさ〜もうちょっと物事を単純に捉えたほうがいいんじゃね〜!いろいろと小難しいことは確かにあるが、まずは自分がどう思ったかが大事なんじゃね〜かな〜!」
ダリの画集を見ながら難しい顔をしている僕に先生は言った。
サルバドール・ダリ
シュルレアリスムの有名なスペインの画家。
僕の好きな画家の1人です。
当時デザイン科から油絵科に移った僕は、作品により深みを持たせるには何が必要なのかを模索していました。その時にたどり着いた画家がこのダリです。ま〜たどり着いたというか、めっちゃ有名ですもんね・・・探さずとも・・・って感じです。
「なんか髭長いし、トリッキーなおっちゃんだな〜でも絵は上手い・・・」
はじめはそんな感じだった気がします。でも作品を見る程に思えてくるんですよね。それは・・・・
「なんだろうこれ・・・正直、意味不明・・・・。」
ダリの絵を見ていると、不思議な感覚になるんですよね。オブジェとかになってくるとなおさら意味不明・・・。これ・・・なんだ・・・って感じです。
僕は基本的には楽観的な性格ですが、当時まわりの油絵科の圧倒的な個性と画力にコテンパンにやられ、完全にノックアウトされていたんですね・・・。ダリの画集を見ながら廊下で座っている僕の姿を見て、先生は軽いノリで話しかけてきました。
「例えばさ〜電話機の横にタウンページが置いてあったら何を連想する?ま〜まず殆どの人が何も考えずに電話をかける事を連想するよな。じゃあさ、電話の受話器がザリガニだったらどう思う?さ〜どうよ?考えるよな。解らないから考えるよな。では、なぜ解らないのか・・・?それは、全然関係ないもの同士を引き合わせているからなんだよ。関係ないと思われるものを敢えて隣同士に置いてみる。そうすると不思議だけど、その物自体についてよく考えるようになるんだ。解らないから考える。それは時に、作者の過去だったり、作品を見ている者の過去だったり、希望だったりが連想されてくる。ま〜まずは、連想して作品を楽しむんだ。そして考える。アートの知識とかそんなの抜きにしてな。時間があったらアンドレ・ブルトンの本でも読んでみたら。」
いま思えば、この会話が僕にとって最もわかりやすい説明だったような気がします。知識、専門的解釈、いろいろありますが、アートの根本って、やはり楽しむことだと僕は思います。たくさん連想する。考える事が楽しいと思える。そして、考えなければ、世の中には何も生まれてこないのです。解釈だってたくさんあっていい。
そんな僕に影響を与えてくれた、サルバドール・ダリ。10年ぶりに展覧会が開催されるようです。
7月1日から京都市美術館、東京では9月14日から国立新美術館で開催されます。まだちょっと先ですね・・・。とても楽しみです。みなさまも是非!
ちなみに僕はその後、ブルトンの「シュルレアリスム宣言」を読み、ダリ以外の画家も調べはじめ、アートの深い所にはまっていくことになります・・・。
今日は、かなり遅い時間になってしまいました。今度、ザリガニでもモチーフにして作品を制作してみようと思います。
読んでいただきありがとうございました。
Autogenesis
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