Autogenesis diary

日々思う事やイラスト制作日記。

はじめてのアメリカ。そして今は亡き祖母の話。

「ずっと一緒にアメリカに行きたいと思っていたんだよ!やっと叶ったよ。」

アメリカから日本に親戚が遊びにきてからというもの、僕はスケートボードに熱中し、アメリカへの憧れが次第に大きくなりました。

 

はじめてアメリカに連れて行ってくれたのは、今は亡き父方の祖母でした。ここで少し祖母の話を・・・。祖母は独り身で子供達3人を育てるという、パワフルなお母さんでした。その真ん中の娘(僕の叔母)が日系の方と結婚することになり、アメリカに渡ることになります。はじめはやはり大反対だったようですね。でも、しぶしぶ受け入れたようです。僕も、飛んでいる飛行機を見てはアメリカに渡った叔母の名前を飛行機に向かって叫んでいたのを少し覚えています。その後、祖母は定期的に娘の様子を見にアメリカに通うことになります。そして祖母は、アメリカにはじめて降り立った時、とても衝撃を受けたそうです。もちろん、祖母は戦争を経験しています。一概にすぐには受け入れられなかったことでしょう。ですが、アメリカの優雅さ、壮大さにとても感動したということを僕に話してくれました。好きなアーティストはマイケル・ジャクソン。当時、マイケルが好きなおばあちゃんって、なかなか珍しいですよね・・・。

 

そしてスケートボードばかりしている僕を見て、いつかこの子をアメリカに連れていってあげたいとずっと思ってくれていたようなのです。

 

小学校5年の夏、僕は祖母と一緒にアメリカに行くことになります。向かうはサンフランシスコ。

 

「ずっと一緒にアメリカに行きたいと思っていたんだよ!やっと叶ったよ。」

 

祖母は、空港でこの言葉をかけてくれました。僕は、傷のついたスケートボードをトランクの中に入れ、祖母とアメリカに向かいました。滞在期間一ヶ月。この時の経験は、僕の人生においてとても大きな存在になります。

 

はじめてのアメリカ。とにかく全てが壮大でした。ゴールデンゲートブリッジ、Twin Peaksの夜景、とても素晴らしかった・・・。近くにあるスーパーや道でさえ僕にはとても大きく見え、感動したことを覚えています。そしてサンフランシスコからロサンゼルスまでの車での旅。憧れのベニスビーチとスケートボード「DOG TOWN」!。「DOG TOWN」のスケート板は僕の当時の憧れでした。そして2年間待ち続けた「バーガーキング」、バーガーキングはやはりハンバーガーの王様でした・・・。とてもいい思い出です。

 

そんな素晴らしい経験をさせてくれた祖母、僕が二十歳の頃にガンで亡くなります。生存当時、僕と一緒にお酒を飲む事ができたのを、祖母はとても喜んでくれました。ただ、僕の子供に会ってみたいという願いは、叶えてあげることは出来ませんでした・・・いまでもその事が悔やまれます。祖母が病院で亡くなる時には、もう言葉をかわすことも出来なくなっていましたが、かろうじて動く手を使い、僕の前で糸を伸ばすような仕草をしてくれました。その仕草を僕は、

 

「人生は長い、ゆっくり、ゆっくりと経験して生きていくんだよ。」

 

と言っているように受け取ったのを覚えています。

 

時は立ち、僕には現在2人の子供がいます。そんな尊敬している祖母を僕は「亀有のおばあちゃん」といつも呼んでいました。今では、僕の子供達2人が僕の母を「亀有のおばあちゃん」と呼んでいます。

 

憧れをもつ、それに向かって進んでいくということは、とても良い事ですよね。そしていい思い出も。その気持ちを忘れずに、また制作に入ろうと思います。

 読んでいただきありがとうございました。

 

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